17世紀、イタリアのアブルッツィ地方にある小さな町サッレは、ヨーロッパにおける弦楽器製造の中心地のひとつとされ、地元の教会の記録では、ベルティ、ドラツィオ、ルフィーニ、そしてマリといった弦製造の名門が名を連ねていました。リュート、ギター、バイオリン用の最高級のガット弦の製作で彼らの技術はヨーロッパ中に名を馳せ、更に初期のスチール弦楽器用の弦の製造へと発展しました。 1640年代に創業したマリ家は、クレモナのアマティやストラディバリにバイオリン弦を提供する業者のひとつとなり、18世紀から19世紀にかけては教会の鐘を製造する金属鋳造所も運営していました。
エミリオとオリントは生まれ故郷であるイタリア・アブルッツィ地方に新たな工場をオープンして事業を拡大し、アメリカやヨーロッパでの弦の需要に応えました。この工場は第二次世界大戦の勃発まで操業を続けました。
1927年、南アフリカのトリポリで開催された第1回トレードショーにおいて、E.&O.MARI社の弦製造業者としての献身と卓越性を讃えてイタリア政府より「ゴールドメダル・ディプロマ」が授与されました。。
第二次世界大戦の開戦を目前に控えた1937年、E.&O.Mari社はイタリア工場の閉鎖を決定しました。また、1940年代初頭にはマンハッタンの工場をニューヨークのロングアイランドシティに移転し、その後約40年間操業しました。
現在、E.&O.Mari社は世界で最も長い歴史のある家族経営の弦メーカーとなりました。
オリントから彼の娘のエリザベッタ、その息子であり現社長のリチャード、孫で現副社長のエリックとロレンツァへと経営が受け継がれています。
E.&O.Mari社は世界の芸術や音楽教育を推進しており、ジャズやロックの演奏クリニック、プロのコンサートや研究のスポンサーとして活動しています。また、数多くのギターフェスティバルやコンクールにも協賛し、奨学金や賞品の提供もしています。