ミラノの弦楽器製作学校の設立に関わった功労者グイード・ビッツィ氏。彼が息子のロレンツォ・ビッツィの他、マエストロのミロス・セイダ、弦楽器エクスパートにして弓製作者のフランチェスコ・イオリオと共に運営している工房が【リューテリア・ビッツィ】です。工房はミラノ・マルペンサ空港から程近い、風光明媚なヴァレーゼ湖畔の邸宅「ヴィラ・ボッシ」の一室にあり、隣室にはチェンバロの製作・修復を行う工房が併設されています。
ミラノの弦楽器製作学校と連携して運営される工房
古楽器の演奏家であり、すでにチェンバロの製作および修復では著名な存在でもあるグイード・ビッツィ氏。数年前から再びミラノの弦楽器製作学校の運営に関わっています。そんな彼が運営する【リューテリア・ビッツィ】では、弦楽器製作学校の教授陣の教えに従い、伝統的なイタリアの製作技術についての研究を行いながら、年間20本程度のヴァイオリン、ヴィオラ、チェロを製作しています。弦楽器製作の責任者はアルゼンチン出身のミロス・セイダ。2021年のトリエンナーレで上位入賞の経験を持つ若きマエストロです。
工房の弦楽器エクスパート「フランチェスコ・イオリオ」
そして、工房で完成した楽器のチェックを行い、また調整や鑑定の依頼で預かったモダンやオールドの弦楽器を担当するのがフランチェスコ・イオリオ。エルル・チロル音楽祭でコンサートマスターを務めた経験を持つプロのヴァイオリニストです。自身の弦楽器コレクションや演奏活動を通して培った弦楽器への深い造詣により、弦楽器エクスパートとして工房をサポートしています。そんな彼が数年前から「自分が理想とする楽弓を具現化したい」という想いから、自らの手で楽弓の製作を始めます。果敢なチャレンジと思われましたが、製作した弓は友人の演奏家たちから高い評価を獲得することができました。
演奏家の視点で製作された楽弓
今回、フランチェスコ・イオリオがスティックを製作、既成の半加工のフロッグを取り寄せて最終加工を行い、完成させた楽弓に「リューテリア・ビッツィ」の刻印を施しました。もちろん、半加工のフロッグは、1本1本それぞれが個性を持ったスティックに合わせ、細かな調整を施して仕上げられています。一流の演奏家でもあるフランチェスコ・イオリオが、最終的なバランスをその手で確かめて完成させた楽弓です。
厳選されたペルナンブコ材から生み出される音色
演奏者が求める滑らかな弾き心地、均整のとれたバランス。フランチェスコ・イオリオが製作する楽弓が持つ特別な個性は、それだけではありません。新作の楽器でも、オールドやモダンでも、楽器が持っている「豊かな音色」を引き出し、演奏者に新たな発見をもたらしてくれる不思議な力を持っています。その特別な音色は、フランチェスコ・イオリオが追求する理想の楽弓を具現化するため、慎重に選び抜いたペルナンブコ材から生み出されます。現代弓ではあまり使用されない、特徴的で美しい外観を持つ材料は、見る者を惹きつけます。
今回、製作を依頼し完成したのはヴァイオリン弓6本、チェロ弓3本のみとなっています。試奏をご希望の方は【こちら】より、お早めにお問い合わせください。